1998年春の「青春18きっぷ」ポスターに使用された駅です。ポスターを見たファンの間で、「どこの駅だ?」と議論になりました。JR東日本管内でばら撒かれたチラシには「熊本にて」とあるだけで、特定できません。熊本といったら、豊肥本線や肥薩線、鹿児島本線など、このような駅はいっぱい考えられます。
しかし、JR九州管内のチラシには「三角線にて」とあり、限定されてきました。私は島原半島からフェリーで三角(みすみ)へ入りました。駅員さんに「どこの駅ですか?」と聞いたところ、赤瀬駅らしいことが分かったのです。
そんなこんなで、赤瀬駅に来ました。熊本駅と三角駅を結ぶ三角線、熊本から約40分のところにあります。
降り立ってみると、チラシの写真以上にすごい風景が広がっていました。トンネルを出るとすぐあるホームは、やや曲がっている。バス停にあるような待合所、唯一の出口と思われる道があります。いや、それ以外、何もない。海岸や鉱山が近いと名所案内にありますが、あとで見た地形図からは、とてもじゃないが歩いて行けるところではありませんでした。…なんで、こんなところに駅があるんだろう?
1998年春の「青春18きっぷ」のチラシ(九州で配布) |
チラシの写真を真似して再現写真を撮っていると、熊本から列車(1両編成)が到着。2人がおりました。1人は大学生風、1人はスーツを着たビジネスマン風。大学生はどうも目的は私と同じらしい。京都の大学生で3回生(ということは春に4回生になる)が「いいとこですわあ。ほんま、感動しましたあ」と感激していたが、スーツ男は!? なんと、ホームの端から線路に降りて、そのまま歩いて行ってしまったではないか。大学生と私はその後姿を見て唖然とした。「何者なんですかねえ」と大学生はつぶやいた。
大学生は「周辺散策」と言って、唯一の道を下っていった。私はホームで待っていた(荷物が重くてね)。30分くらいして大学生が来て言った。「なあんも、ないですわあ」。
かくして、何もない駅に暇な旅行者は降り立った。それだけのことで、百名駅になっちゃうんだから…まあ、いいんじゃない!?
ちなみに、その大学生が「こんなとこ来てる場合じゃないんですけどね…」と危機感を募らせていたことを付け加えておく。
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