HOMEニッポン百名駅関東甲信越の百名駅
勝沼ぶどう郷駅
勝沼ぶどう郷駅(2003年2月/ETN)
東日本旅客鉄道(JR東日本) 中央本線
勝沼ぶどう郷 かつぬまぶどうきょう

開 駅
OPEN
大正2(1913)年4月8日
所在地
ADDRESS
山梨県東山梨郡勝沼町菱山
接 続
CHANGE
なし
改 称
RENAME
平成5(1993)年4月1日(勝沼→勝沼ぶどう郷)
 ぶどうの里、秋の再訪誓う (2003年3月 #54)
「ぶどうが収穫される秋ごろに、またお越しくださいね」

 そう言うと、お姉さんはにこりと私に笑いかけた。こっちも笑顔で返事をする。そして、秋の勝沼の再訪を誓った。

 ぶどうの里、山梨県勝沼町。旅人の玄関となるのが、JR中央東線の勝沼ぶどう郷駅である。

 駅名からして、すばらしい。以前は「勝沼」駅だったのが、ぶどうの里をアピールするために改名したというのは想像に易しいが、でも「ぶどう郷」駅の名前を付けるだけの意味は十分だ。駅を降りて正面に見える「ぶどうの丘」、駅から少々離れたところにあるワイン工場(ワイナリー)を結ぶ道を走ると、それはそれは、周りはすべてぶどう畑、どこまで行ってもぶどう畑である。勝沼の地形図を買ってきて、果樹園のところだけ巨峰のブルーに塗りつぶしたら、町の大部分がぶどう色に染まるのだろう。

 しかし、ぶどうの最盛期は夏から秋。9月から11月には収穫され、冬は次の栽培に備えて畑は短い休みに入る。その間は、ぶどう郷は木々に覆われた茶色い風景になる。

 それがかえって良かったのかもしれない。私が駅を降り立ったとき、眼前に広がったのは一面のぶどう畑ではなく、遠くにそびえるアルプスの山々だった。項上付近から中腹まで雪にかぶり、「アルプス」と形容されるだけある壮観さを醸し出していた。眼を転じて、その麓の扇状地に広がるぶどう畑である。冬山と冬ごもりするぶどうの木々の、自と茶色のコントラストが、とても美しいのである。

 駅前から出ている、ぶどうをモチーフにした可愛らしい循環バス。100円で乗り降りできるオトクなバスは、茶色い町を駆け抜ける。目指すはワイナリーだ。ぶどう栽培の盛んな山梨は、ワイン生産量も日本有数の規模を誇る。ワイナリー見学は、勝沼へ訪れた旅人の王道だ。

 なんといっても、ワインが試飲できる。試飲、といっても、おいしいワインが飲めるのだ。どうして「中央ハイウェー」を飛ばしてこないで、「あずさ」で旅立ったかという理由はここにある。

 甲斐路で育った在来種のぶどう・甲州種で造られたワインは、和食とよく合うワイン。あるいは、ブルニュー原産、ボルドー原産のぶどうで造られたワインは、上品な味わい。なんて、ワイン好きは言う。白と赤、甘いか辛いかくらいしか分からないビギナーだけど、おいしいワインはおいしい、って分かる。

 冬の工場見学は、止まった機械の鋭明、発酵タンク、瓶詰め後の保管庫と続く。ワインはビールと違って「できたて」というものがない。寝かせて、飲み頃に至るには何ケ月から何年もかかる。けど、収穫期のワイナリーは見ごたえありそうだ。原料・ぶどうの破砕と圧搾、瓶詰めのラインが実際に動いているところは見てみたい。そして、ワインを味わいたい。

 やっぱり秋の勝沼の再訪は、「勝沼ぶどう郷」駅から始まることになるだろう。


Copyright © 1999-2003 EASAS TRAVEL MEDIA NETWORK, All rights reserved.
「エアサス・ネット」に含まれるコンテンツの著作権は、エアサス旅行研究会または情報提供者に帰属します。