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畝傍駅
畝傍駅ホーム(2000年3月/ETN)
西日本旅客鉄道(JR西日本) 桜井線
畝   傍 うねび

開 駅
OPEN
明治26(1850)年5月23日
所在地
ADDRESS
奈良県橿原市八木町2丁目
接 続
CHANGE
近畿日本鉄道橿原線・大阪線(→大和八木、徒歩10分)
 トンデモ3人組旅行記 (2000年12月 #38)
始まりは、いつも嵐

 サクラの開花が待たれる、3月下旬のことであった。

 私は、気の合う友人2人K君、M君(以下敬称略)を誘って、あちゃこちゃ寄り道しては美味いもんを食うという、勝手きままな旅を計画した。各々が行きたいところを挙げたところ、関西方面に集まっていたので、適当につなぎ合わせれば何とかなるだろうと思っていた。

 ところが、世の中、何とかならないものである。

 3人で仲良く東京を出発する予定でいたのだが、Kが「アルバイトがどうしても休めない。しかも急用ができた」と言い出した。それも出発予定の2日前。これはいけないと思い、緊急協議会にMを召集した。会場は、喫茶店A。

「またAでやるのかい」
「行きつけだからね」

 Aは全国に展開するコーヒーチェーンである。特にC駅前の店舗は、かつてMと待ち合わせしたときに、買ったばかりのオレンジジュースを手から滑らせ床にぶちまけた上に、替わりのジュースを無料で入れてもらうぐらいの行き付けである。

 それはさておき、Kの事情をよく知るMに、今回の件の詳細報告をうけた。すなわち、Kのアルバイト先(塾のセンセ)のローテーションが、上司との見解の相違によってかみ合わなかったため、やむなく出勤せざるを得なくなったというのである。

「よくわかった。そんで、急用ってのはなんだ?」
「S(我らの友人のひとり)のいとこが、東京に遊びにくるんだって。で、案内しなくちゃいけないんだけど、Sは東京知らないから、Kを巻き添えにしたんだって」
「確か、Sの田舎って大分だったな。てことは、羽田に迎えに行って…」
「いや、寝台特急『富士』に乗ってくるらしいよ」
「飛行機じゃないのか!」

 Sのいとこがブルートレインで上京するのは、私たちが出発を予定していた日。ということは、少なくとも1日遅れになるということだ。しかし、安心せられよ、私たちの今回の旅は、まったくの無計画なのだ。切符だって「青春18きっぷ」を使う予定だから何とでもなるし、指定席もホテルもな〜んも予約してない。こういう旅のスタイルは、緊急時に柔軟に対応できるのだ。

 そういうことで、協議会は終了した。決まったことを、さっそく電話でKに知らせた。

「俺たち先に出発するから。あとから新幹線なり飛行機なりで追っかけて来い」
「おまえら〜!」

品川駅4時間耐久戦

 私たちが使うのは、東京から西へ行くのに最も経済的な列車、通称「大垣夜行」である。

 この「大垣夜行」は、東海道を走る夜行の鈍行列車である。もともとの「大垣夜行」は、1997年3月に新型車両になって「ムーンライトながら」という名前も付いて、しかも全車指定席になってしまった。指定席を取れなかった、あるいは指定席料金(510円)すら節約したい人は、品川始発の臨時大垣行き(全車自由席、ただし運転期間限定)に乗ることになる。

 春休み、とくに「青春18きっぷ」を使うヤローが多いこの時期は(お前もそうだろ!)、指定席は満席。なんも準備してなかった我々は、臨時を使うことを余儀なくされた。

 臨時というのがクセモノで、自由席だから、確実に座るには早く駅に行って並んで待ってないといけない。ピーク期(鉄道用語では繁忙期)だと、夜8時にもなればホームで押すな押すなの大混雑・・・まではならなくても、今日の混雑具合は想像がつかなかった。でも、早く行くに越したことはないということで、私は20時に駅へ行き場所取りして、21時ごろMがホームに現れることで話がついた。

 私はその日、朝からワンデーハイクを楽しんだ。なんだか知らんが成田空港に行ってしまったぞ。「スカイライナー」にも乗ってしまった。それはともかく、東京駅八重洲口近くにある牛丼店で大量にお茶を摂取し(だって注ぎ放題なんだもん)、胃袋をタップタップ言わせながら20時キッカリ、品川駅ホームに到着。ついた頃、予想以上に人が・・・まばらであった。う〜ん、これは早く来過ぎたかな、と少し後悔。列車は23時55分発だから、あと4時間はここに居なきゃ。

 別にホームで待ってるぶんにはいいじゃないか、とおっしゃるあなたはお分かりではない。品川駅の臨時ホームが待つところなのだが、ここは日本有数の「風が吹き抜けるホーム」で、夏でも寒いのである。私も学習するから、きちんと防寒着を着て・・・でも寒い。隣で待ってた人なんか、寒さに耐えかねて、私に「ちょっと荷物見ててくれます?」と言い残して40分帰ってこなかったぞ。

 新聞を見て暇つぶしをしているうちに、21時になった。でも、Mは、来ない。そういえば、Mは昨日電話したときに、「何としても大垣夜行で寝るぞ。だから、明日は高尾山に登って疲れを貯めて眠くなって来る」とはりきっていた。はりきる場面が違うような気がするけど、Mは高尾山にてこずってるのだろうか。

 30分くらいして、平謝りしながらMが登場。

「ごめんごめん。大学の図書館で昼寝しちゃって、気づいたら9時になってて・・・」

 今夜、眠れない可能性が極めて高まった。

 Mは、お詫びにサッポロビールを持ってきた。いやいや、サッポロビールに北海道新聞か、いいねえ。

「なんで北海道新聞があるんだよ!」
「そりゃア、そのへんうろついてたら売ってたんだよ」
「うろついてて売ってるかい」

 まあ、これは確信犯です。さて、差し入れのビールを一気のみ…コンパでやっちゃいけませんよ、危ないですからね、一気に飲み干したら、もっと寒くなった。そうだよ、ビールってホットじゃないじゃん。もしかしたらホットビール、売れるかも。いや、売れない。

 さて、まだ時間まで2時間以上ある。寒いホームのもと「Sシリーズ」(その道の人には有名な本)を読んだりしながら、列車を待った。結局、この日の混雑具合はガラガラだった。何のために4時間前から乗り込んだんだ。時間を返せ!

朝のNAGOYA

 「大垣夜行」は、このときで6回目であった。そして、眠れなかったのも6回目であった。

 誰か、大垣夜行でいかに眠るかという必殺技(殺されては困りますが)を知ってたら教えて欲しいものです。ちなみに、現在のところ有力な方法として「乗車前に100kmマラソンをする」「乗車3日前から寝ない」「睡眠薬を飲む」というのがあるが、もっと現実的なものがいいな。

 私たちはというと、完敗で、「大垣夜行」はもう散々と、夜明けの名古屋で飛び降りて、そのへんをうろうろした。

 さて、名古屋付近で用事を済ませた私たちは、第二の目的地・京都へ向かうことにした。岐阜駅で接続待ちをしている間に、京都のホテルT横インを予約した。なおも時間が余っていたのでキヨスクで夕刊を買ってきて眺めていた。

 そのときである。「あ〜〜〜!」と思わず大声を挙げてしまった。M氏は驚いて、「どうした?」と、新聞を覗き込んだ。

 <大分発東京行きの寝台特急「富士」が事故のため遅れ…>

 その列車って、K氏が迎えに行っているS氏の乗っていた列車じゃないか!

「何で、よりによって『富士』なわけ? しかも、この日に限って!」
「う〜ん、S氏は、なにかしらやってくれるなあ」

京都を駆ける

 京都へは順調に進んだ。本数が少ないとされる大垣・米原の区間もすんなり超え、メタリックな京都駅へついた。M氏は「新快速は速いねえ」と感激していた。さすがは130km/h、昼間なら、速さがもっと堪能できるだろう。

 駅地下のラーメン屋でそこそこのラーメンを食べ、バスに乗ってホテルへ行った。よく考えたら、私はね寝てないんだよ。ホテルに着いたら、シングルなんだけど、そのままベッドにバタッ。気づいたら、朝です。ホテルの備品を何ひとつ使わずに…、いや髭を剃ったか、まあ、そんな具合でホテルを後にした。

 ホテルから徒歩数分で四条大宮駅があり、そこから京福で嵐山に出た。渡月橋を眺め、人力車の兄ちゃんが女の子を口説いている(営業です)のを横目に、そのへんをうろうろ。こんなところに五木茶屋があるのか、と関心しながら、寒空の下を散策した。

 ところで、きょうは奈良に行く予定である。昨日の「富士」の遅れで全ての計画がお釈迦になったため、きょうK氏が奈良へ来ることになっている。M氏とは京都で別れ、K氏と待ち合わせているJR奈良駅に15時ということにした。

 ちなみに、きょうの宿は奈良南部の大和八木にあるユースホステルである。本当は市内がよかったのだが、修学旅行か何かで満員になっていたのである。

 京福嵐山駅前の「美空ひばり記念館」の前で、M氏と別れた。何かあったら、と、携帯電話の番号を教えた。ちなみに、この旅行で携帯電話を持っていたのは私だけで、この携帯電話も借り物だったりする。

 私はその後、「美空ひばり記念館」を1人で見学した。きっとファンで混雑しているかと思えば、いたのは数人で、最終的には1人で見て回っていた。小樽の「石原裕次郎記念館」でも同じようなことがあった気がする。誰も居ないと、のんびりとマイペースで見れていいものだ。

 見学を終え、嵯峨郵便局に寄って無い金を払い戻し、90円ジュースを買い(デカビタ)、JR嵯峨嵐山駅から電車に乗り、デカビタを開けたらプシューっと吹き出て手はべとべとになるし…、急に気が変わって二条で降りる。嵯峨嵐山から230円の切符を買ったが、それって京都までじゃん。二条までなら190円で済んだのに、トホホ…。何をいうか、男たるもの、40円くらいで泣いてはならん。――二条から地下鉄に乗って三条京阪に出て(200円)、三条大橋を見てたら雨が降ってきたから地下に入ったら駅で、ちょうど京阪宇治行きの列車がきたので乗って…、それで宇治の平等院に行こうとしたわけですわな。

 ところが!

 よくよく考えると、宇治ところではない。15時に奈良駅に行くためには、宇治なんか行ってたら到底間に合わない。どうしよう!

 仕方ナシに、JR奈良線か近鉄京都線の接続駅で乗り換えていくしかない。時刻表の索引地図を見たら「丹波橋」という駅で近鉄に乗れるようだ。切符は320円出して宇治まで買ってしまったが、う〜ん、しょうがない。とにかく、乗り換えよう。

 丹波橋到着。急いで降りて、階段上って、…近鉄に乗り換えた。

携帯電話の功罪

 近鉄京都線は、田園地帯を駆け抜ける。京阪神の風景を思い浮かべると、のどかに思える。

 三条から丹波橋までは260円だったので、60円がもったいないことしたが、男たるもの、60円で泣いてはいかん…。さっきのJRとあわせて100円ぢゃん、トホホ。

 なんとか、15時にJR奈良駅に着けるメドがたったため、ほっと一息ついていた。近鉄はすぐ車内検札が来るので、奈良まで切符を買う(540円)。ラジオでも聴くか、と思ってチューニングをするが、…聴こえん。奈良の周波数が分からない。新聞に載ってるかな…くそっ、京都新聞じゃないか。これじゃ分からない。

 そのうち地下にもぐっていったため、どのみち聞こえなくなった。近鉄奈良駅に到着した。この駅は地下駅である。

 改札を出て、売店で「関西ウォーカー」を買い、地上に出た。近鉄奈良駅とJR奈良駅は歩いて15分ほど離れている。M氏に言わせれば、その道順は近鉄奈良駅の1階にある観光案内所で聞けばよいということだった。それに習うことのした。

 観光案内所で地図をもらい、歩いていくことにした。近鉄とJRの駅間はちょうど繁華街となっていて、お店が多い。時間があったので、すぐ出来ることで有名なファーストフードに入った。

店員「いらっしゃいませ、お持ち帰りですか」
「はい」
店員「ご注文はお決まりでしょうか」
「ハンバーガー2個」
店員「以上でよろしいでしょうか」
「ハイ」
店員「お会計のほう、136円となります、少々お待ちください」

 これをスマイルを絶やさず言う店員は、すごい教育を受けているのだなと思った。オヤツですからね、136円でいいでしょう。しかし、昼飯食べて無いじゃん、昼飯136円、よくないでしょう!

 ところが、作り置きを出すので速いことで有名な店であったが、ハンバーガーは品切れであったため、「ただいまお作りしていますので、少々時間を頂戴いたします」(店員)と、キャラクターの書かれた札を渡された。こらこら。

 そのときである! かつて感じたことの無い不可思議な振動が私を襲った!

 携帯電話が着信したらしい。ポケットに入れているので、ブルブル震えるのである。

 店の中は喧しいので、表の方へ行く。

 着信表示は「公衆電話」である。ということは、K氏かM氏ということである。…というより、彼らしかかけてこないっての。

 電話に出たら、K氏だった。

「あ、もしもし? 今、どこ?」
「今はねえ、…奈良市内、JR奈良駅に近い」
「あー、あのさあ、俺、遅れるよ」
「え? あ、今、どこにいるの」
「ムロージにいるんだけどさあ、バスがなくって、1時間半ぐらい遅れると思う」
「な、な、何だって?」
「だから、先に行ってて」
「ム、ムラウジ? 何だそこ」
「ムロウジ。室、生、寺」
「どこにあるの? そこ」
「うーんとね、近鉄で、名古屋から…」
「奈良より、名古屋寄り? 大阪寄り?」
「名古屋」

 注文が出来たので、そっちに行かなきゃいけないから、とりあえずM氏とも相談しなきゃいけないので、再び電話をくれるように言って切った。

 なんだ、室生寺って。日本史検定ゼロ級の私には、まったくもって知らなかった。

 とにかく、JR奈良駅に急ぐことにした。

 JR奈良駅には、15時5分前に着いた。

 駅の改札前には待合広場があって、木のモニュメントとともにイスが配置してある。私はキヨスクに一番近い側に腰を下ろした。

 まず、さっそく時刻表でK氏の現在位置を確認することにした。近鉄名古屋から近鉄に乗っていったとすれば、大阪線ということになろうか。線上をたどると、「室生口大野」という駅があって、そこからバスが伸びていた。どうやら、ここのようである。しかし、現在ここにいるとすれば、奈良駅に着くにはかなり時間がかかることは時刻表を調べなくても想像がついた。

 キヨスク横の自販機でコカ・コーラの500ミリリットルペットボトルを買って、ハンバーガーにかぶりつきながら、飲んだ。炭酸きついよな、あれ。すぐゲップが出てしまう(汚い!)。

 時刻表を眺めながら、どうしたものかと思った。

 そういえば、今夜、泊まることになっているユースホステルは、たしか大和八木駅に近いんじゃなかったか。そうだとすれば、K氏には奈良駅に来てもらうより、大和八木駅で待っててもらったほうがいいに決まっている。だって、近いんだから。

 再びK氏から電話が入ったので、そのようなことを告げると、了解と言って電話を切った。

 ――ところで、Mはどうした〜〜〜〜!

 数分後、また電話が鳴った。今度はM氏からだった。

「もしもし? 今、宇治にいる。これから快速に乗っていくから」
「う、宇治? いま、宇治にいるだとォォ!」
「うん。あ、電車着ちゃった、じゃあ、よろしく」

 うまく、逃げられた。
 どうやら、彼もあと40分は来ないようだ。すると、俺は、いったい何のために丹波橋で乗り換えて急いでここまで来たわけ?

 つくづく、携帯電話が、にくくなった。だって、これがあるおかげで、みんな堂々と遅刻するじゃん!

 15時40分を少し過ぎた頃、奈良線から、M氏が降りてきた。

 まあ、遅れたもんはしょうがない。それよりも、K氏がどういう状況にあるかということを説明した。

 ユースホステルに行くのだが、初めての場所なので、明るいうちに着きたいと思っていた。ここから大和八木に行くには、近鉄奈良駅から橿原線に乗って行く方法が無難である。JRでも行けるが、時間がかかる。

 ところが、いろいろと調べた結果、近鉄の場合は近鉄奈良まで15分近くかかるロスがあるし、特急もちょうどいい列車がないようだった。

 M氏はJR桜井線利用を強く主張し、その列車の発車も迫っていたため、JRコースにすることにした。じゃあ、切符を買ってこよう。畝傍まで480円っと…あれ、きみは?

「僕は18きっぷだから。。。。」

 やられた! そういうことか、JRコース! ま、いっか。

異国の地での再会

 桜井線は以前、和歌山に出るときに、和歌山線と通して乗ったことがあった。そのときは1人で、車内で駅弁を食べようと駅構内で買って鼻歌歌っていったら、なんとロングシートで参ったという思い出がある。結局食べましたが。また、横浜高校とPL学園高校が伝説の試合をした翌日の試合(準決勝)を、ちょうどラジオで聞いていて、8回の表、6−0で横浜が負けていて、もはやこれまでかと思っていたら、8回裏に4点、9回裏に3点入れるという驚愕の試合を聞かされて、その勢いでその夜の「きたぐに」をやめて甲子園に行こうかと真剣に考えた列車でもある。

 そんなことは、どうでもいいが、そうこうしているうちに、八木駅の最寄駅に着いた。

 その駅が、「畝傍」駅である。

「……、なんて読むんだ、これ」
「…ビン・ボウ?」
「それは違うな」

 私たちは畝傍を読めなかった。これを「うねび」と読むと分かったのは、車内のアナウンスによってである。

 畝傍駅。

 今回の百名駅の舞台であるこの駅、とっても立派な駅舎がある。でも、無人駅。無人駅は、列車を降りるときに車掌さんに切符を渡すのだが、こういうときに限ってポケットのどこかに消えてしまうのよ。焦って探すほど見つからない。列車の時刻が遅れるじゃないか〜という車掌さんの恐い顔を前に、ポケットの中を全部出す。ガムの包み紙やどっかの福引券が出てくる。ドラえもんじゃないんだから。そのうち財布の中にはさまってるのを見つけ、事なきを得る。切符を入れる場所は決めておいたほうがいいですね。

 畝傍駅の駅舎は、すごくいい。駅の構内が広々としていて、これは泊まるにはいいなあと思いながらM氏を見ると、隅にある時刻表をもらって折りたたんでいた。

 駅舎をバックに記念撮影をすると、K氏の待つ大和八木駅へ向かうことにした。

 桜井線に乗っていたときに、K氏から到着したと電話が入り、駅前の噴水のところにいるから、ということだった。

 それはいいのだが、問題なのは畝傍駅から大和八木駅までどうやって行くかである。そんなに遠くはないはずだ。来たことがあるというM氏によれば、駅前は畝傍駅よりは栄えているという。近鉄百貨店もあるらしいから、お店のあるほうに行けば間違いなさそうだ。

 年度末の道路工事にガタガタ文句言いながら、歩いていくと、その先に高架が見えて、そこに近鉄電車が走っているのが見えたので確信した。

 迷わなければ、そんなに遠くはない。すぐ駅に着いた。そのとき、電話が鳴った。K氏からだ。

「もしもし〜。いま、どこ〜」
「うーん。すぐ近くまできたんだけど、この辺道が分からなくてねえ…、いまどこにいるかなあ」
「え? どこらへんにいるの?」
「あ、もしもし? 駅の近くだと思うんだけどね、わかんないなあ」

 と話しながら、公衆電話で電話しているK氏の背後に着いた。

 こうして、3人が出会ったのである。めでたしめでたし。…この後のことを書くと、さらに長くなるので、「サクラのソフトクリームはいかん」ということだけ言っておこう。

「何があったんだ!」


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