琵琶湖、は日本最大の湖として知られている。
そのちょっと北側に、小さな小さな湖がある。それが余呉湖。
余呉湖は小説「湖の琴」の舞台となった。文学に通じている人ならピンと来たかもしれない。水上勉の作品で、湖畔に残る羽衣伝説を絡めて、賤ヶ岳の山間の集落で起きた男女の悲恋を描いたものだ。かなり前だが、映画化されたこともある。
その余呉湖の最寄り駅が、余呉駅である。
京都から湖西線に乗って福井方面に向かうと、この駅を通ることはない。近江今津駅で乗り換えて、米原方面へ戻る必要がある。なかなかアクセスのしづらいところではあるが、四方を山で囲まれ、湖の周囲は水田で埋められており、その光景は素晴らしいものがある。静かで、聞こえる音といえば北陸本線の電車の音ぐらいなものだ。一日、湖畔で昼寝したいような気分にさせられる。
駅ではレンタサイクルがあるので借りるといい。湖は周囲6.5kmだから、のんびり走っても2時間もあれば一周して来られる。途中、羽柴秀吉と柴田勝家の合戦(1583年)で知られる賤ヶ岳の登山道があるから、ハイキングも楽しめる。湖面は標高132mと高く、賤ヶ岳の山頂422mまでの高低差は290m足らずだから、気軽に登れる。展望台からは琵琶湖が一望できる。ものの本によれば、琵琶湖八景の一つ「新雪・賤ヶ岳の大観」だそうだ。なお、展望台付近の自動販売機はブッ壊れているので、食料は持参することをお勧めする。
おっきい琵琶湖もいいけれど、ちっちゃい余呉湖も、また楽しい。余呉駅は小さな駅舎、気が付かなければスッと通り過ぎてしまいそうな駅だけど、こういう駅にこそ、大きな楽しみが隠れているのである。
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