江ノ島周辺には鉄道の駅が3つある。1つは江ノ電江ノ島駅であり、2つ目は湘南モノレールの湘南江ノ島駅であり、3つ目は小田急片瀬江ノ島駅である。この中でもっとも江ノ島に近いのは片瀬駅である。他の2つはわりと江ノ島から離れていて、観光用の駅というよりは、むしろ通勤駅といった趣きが漂う。特に平日はその色合いが濃い。
さて、伯母が藤沢に住んでいるので、僕はこれまで何度か江ノ島を訪れたことがある。伯母の家に行くと、他に観光スポットもないので(鎌倉がそうかもしれないが少し遠い)江ノ島に行こうということになるからだ。だから、3回か4回は江ノ島に来ているのではないかと思う。ただし、もちろんサーフィンとか海水浴にきたわけではない。悪くいえば単なる暇つぶしである。
ところで、その何回かの江ノ島観光の中で最も印象に残っているのは僕が小学生の時の江ノ島花火大会である。そのとき僕は妹と二人で伯母の家に遊びにきていた。伯母は江ノ島で花火大会があるのでそれに行ってみよう、と言った。
行きは江ノ電。昔の江ノ電はとてもぼろかった。むろん、自動改札なんて無い(現在は藤沢駅と鎌倉駅は自動改札化されている)。
駅から江ノ島に至る道はとても混んでいた。なんといっても首都圏有数の花火大会である。僕たちはお互いはぐれないようにしながら海岸まで歩いていった。無事に江ノ島海岸にたどり着くと、場所取りをし、後は花火を飽きずに眺めていた。あのときの花火は今に比べてきれいに見えた。
帰りは小田急、つまり片瀬駅を利用した。片瀬駅は一見首里城を3まわりほど小さくした竜宮城のような赤い建物である。昼間ならとてもよく目立つ。僕たちは藤沢本町駅までの切符を買った。
10年の歳月がたち、僕は再び江ノ島にいた(行きはやはり江ノ電)。時間は夜の7時半。いくら夏とはいえさすがに真っ暗である。僕は片瀬駅を探していた。しかし、見つからない。見つけるためには江ノ電駅、そして湘南モノレール駅まで戻ってそしてまた海岸まで歩くという道のりを経なければならなかった。その距離約2キロ…
(2002年7月追記)
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