札幌・大通公園爆発物事件
情報協力・北海道新聞社


 札幌市中央区の大通公園で6月10日深夜、YOSAIKOIソーラン祭りの特設ごみ集積場のごみが爆発、学生スタッフの1人が一時重体、9人が軽傷を負った。道警は何者かが爆発物を置いた可能性が強いとみて、殺人未遂の疑いで捜査本部を設置、本格捜査に乗り出した。重体の学生の体内から、くぎが見つかったほか、現場周辺でも多数のくぎなどが散乱しており、捜査本部は爆発物の特定などを進めている。

運営方法、警備体制見直しを検討

 YOSAKOIソーラン祭り組織委員会の杉岡幸三郎会長は、15日の記者会見で「来年以降は、祭りのごみの分別作業を専門業者に任せることも含め、慎重に考えたい」との意向を示した。
 杉岡会長は「来年は札幌ドームの完成、2年後はサッカーのワールドカップとタイアップした祭りを検討している。同様の事件が起きない保証はなく、運営方法や警備体制の見直し作業に入りたい」と話した。
 また、爆破事件は10日22時半ごろ起きたが、組織委の正式なスタッフ3人が病院と警察での事情聴取に追われ、会長への連絡は発生から5時間半後だったことを明らかにし、「今後はスタッフ内の連絡網を作るなど、危機管理を徹底したい」と述べた。

BBSへの中傷書き込みは、事件当日朝に集中 

 大通公園爆発物事件に絡み、YOSAKOIソーラン祭りの公式Webサイトの掲示板(BBS)に掲載された中傷の投稿は、事件当日の10日未明から早朝に集中的に書き込まれていたことが15日、分かった。祭り組織委員会の杉岡幸三郎会長らが同日、札幌市役所で記者会見して明らかにした。札幌中央署の捜査本部は、同委員会から書き込み記録の提出を受け、事件と関連があるかどうか慎重に調べている。
 同委員会によると、書き込みは「踊っているやつを見ると殺したくなる。死ね」などの内容。限られた数人が繰り返し発信していたとみられ、「爆発」や「爆弾」の記述はなかった。
 同委員会の関係者がすぐに削除したため、書き込みの総数は不明。中傷の投稿は9日夕から始まり、最終日の11日まで続いた。同委員会は、削除せずに残っていた一部の記録を捜査本部に提出した。
 これまでの調べで、公式サイトとは別に、匿名投稿文を掲示するBBSにも「会場に危険物を設置せよ」「爆破予告をかけるしかない」などの書き込みがあったことが分かっている。
 また、爆弾が仕込まれていたとみられるファストフード店の紙コップがあった大通西七の灰皿付近は祭り参加チームがよく記念撮影する場所だったため、同委員会は不審者や紙コップが写真に写っている可能性があるとみて、各チームに写真の提供の協力を求めている。

コンビニ爆破の火薬、大通公園事件の成分とほぼ一致

 大通公園の爆発現場から採取された火薬が、この6日前に同区内のコンビニエンスストア前で発生した類似事件の火薬とほぼ同じであることが14日、札幌中央署の捜査本部の調べで分かった。同本部は、コンビニの事件が「予行演習」だった可能性もあるとみて詳しく調べている。
 調べによると、両事件の現場から採取した火薬などを分析した結果、双方から検出された成分が一部を除いて一致した。市販されている花火の大半に使われている「黒色火薬」系の火薬の成分とみられている。
 これまでの調べで、両爆破事件とも火薬臭が伴い、現場から似たようなくぎ状の金属が発見された。さらに、コンビニ前で見つかった紙片がファストフードチェーンの紙箱の切れ端で、大通公園の事件で爆弾が仕込まれたとみられる紙コップと同じチェーンのものだったことが分かっている。
 こうしたことから、捜査本部は、両事件が関連する可能性がさらに高まったとし、犯人の割り出しや爆弾の構造特定を急いでいる。

最新情報が入りしだい、更新します

≪これまでの関係記事≫


EASAS NET ホームページ