小山駅は例によってとても印象的である。どうも旭川駅と並んでこの駅には僕と何か因縁があるように思えてならない。
秋も深まる頃、僕はちょっとした用事があって栃木県小山市に来た。僕はそのとき「ホリデーパス」を利用していたのだが、小山駅はその東北線方面の北限である。
さて、小山駅の改札の外にでようとしたところ、
「ピンポーン! ピンポーン!」
という、耳障りな音が鳴った。僕はそれが自動改札機のエラー音だということはわかったけれど、まさか自分の通っている改札機の音だとは思わなかった。だから構わず外にでようとした。
しかし周知のように、自動改札機はエラーになるとあのバタンという音と共に出口が閉まってしまう。僕は事態がうまく飲み込めなかった。
「は?」
僕は切符を入れる口に戻ってきたホリデーパスをとって、高鳴る動悸を押さえながら考えた。でも、わけが分からなかった。だって、ホリデーパスは小山もOKだろ?
ものは試し、切符をもう一度いれてみた。
「ピンポーン! ピンポーン!」
結果は変わらなかった。もう一度いれてみる。
「ピンポーン! ピンポーン!」
わかった、わかった。どうやら、僕の持っていた切符では通れないらしい。
何度いれても同じような気がしたので駅員のいる有人改札口にまわることにした。
僕「すいません、この切符、自動改札機が受け付けてくれないんですが」
駅員「ええと、ここに傷が付いていますね」
確かによく見ると僕の切符には小さな傷が付いている。しかし、これしきの傷で自動改札機が通れなくなるものなのか? 自慢じゃないが、僕はもっと傷が付いた切符で自動改札機を通ったことがある。それに比べれば…
駅員「一応、もう一度通してみてください」
駅員さんの言葉にしたがって、もう一度切符を改札機にいれてみた。が、結果は…
「ピンポーン! ピンポーン!」
僕は駅員さんに有人改札口から外に出してもらった。
ここまでの話なら、別に普通のことである。切符が傷ついていて文明の利器である自動改札機が通れなかった。何ともないことである。けれども、この話には続きがある。
僕は帰りに途中、大宮駅で降りたのだけど、そのときには同じホリデーパス切符で大宮駅の自動改札機を苦もなく普通に通れた。あの耳障りな音は鳴らなかった。大宮駅に入札するときも同じだった。
そして、我が家の最寄り駅の改札口でも、特に異常はなかった。普通に自動改札機を抜けることができたのである。
以上のことからわかることは、僕は小山駅と相性が悪いということである。今度お菓子でも持って機嫌を伺いに行かなくては。
(著者後記)
実はこの後から今に至るまで同じようなケースを2度経験した。根岸線・山手駅と同・磯子駅である(2つは別の日)。自動改札機というものは案外デリケートなものらしい。
(2002年7月追記)
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